You me but what cat rue

読めばわかる

大盛り無料とお化け

 ラーメン屋などにたまにポップな自体で書いてある、大盛り無料。もしくは替え玉無料でもいいです。あの魅力に抗える人類なんていないだろうと、僕は思うのです。

 人間ってのは無料って言葉に弱い。なんかに書いてありました。

 タダより怖いものはない。昔の人が言ってたって、なんかに書いてありました。

 つまり、人間は怖いものに弱いのです。簡単な証明ですね。お化けが怖いのも頷けます。あれは、僕らがお金を払って来てもらったり、写真に写って貰っているわけではありません。お化け側のボランティア、博愛精神、無償の愛。つまるところ、あれはタダです。だから怖いんです。死んだ人がただ出てきているからではないです。死んだ人がただ、タダで出てきているから怖いのです。

 亡くなった人と喋りたくてイタコにお金を払う人もいます。あの人達は、たとえ胡散臭いおばあさん越しの対面だとしても、その対面にお金を払い、感激します。

 しかし、普通は胡散臭いイタコおばあさんが急に来たら怖いです。僕らとおばあさんが人間同士として会うだけのことならば、そこに金銭は発生しないからです。おばあさんがマイケル・ジャクソンとタダでお話させてあげるよなんて言いながら来たら、もっと怖いってことです。

 それもこれもタダだからです。タダより怖いものはないのです。

 だがしかし。そうは言っても世の中広し。タダより怖いものなんていくらでもあるだろう、なんて考える人もいるでしょう。では、怖いものの代名詞、地震、雷、火事、親父で考えてみましょう。

 まず地震

 あれは基本的にタダです。だから怖いんです。お金を払い、対価として地面が揺れる。するとどうでしょう。誰もそんなことにお金を払いやしません。危ないですから。

 雷も火事も似たようなものです。お金を払って、対価として被害を受ける。

 するとどうでしょう。本来は自然災害である地震や雷が、お金が間にあることで規模の大きいSMクラブみたいに見えてきます。変な気味の悪さを感じはしても、以前のような理不尽な恐怖は感じません。

 親父だって同じです。親父が怖いのは厳しくて、怒るからです。そこにお金を挟み込みます。親父に怒られて、そこに対話を求めることなく反発していたあの日の少年、少女も、折角お金を払ったなら少しは耳を傾けてみようという気になるはずです。親父だってお金を貰ったら、少しはリップサービスをしてくれるはずです。

 これで、地震、雷、火事、親父はタダじゃないなら怖くないということをわかっていただけたと思います。

 結局、タダより怖いものはないんです。